「カムサヴァダム」

今週末、上演する演目のストーリーを紹介します

· 公演情報,ナンギャールクートゥ
お話に登場する人物の紹介
クリシュナ:ヴィシュヌ神(ヒンドゥー教三大神のーつ)の化身
      人間として地上に生まれ、牛飼いの村に育った少年
バララーマ:クリシュナの兄
カムサ:マトゥラー王国を力で奪い、王位についた魔物
    クリシュナの実の父と母は、このカムサに幽閉されている
その他、マトゥラー王国に住む人々
第一場
始まりの挨拶~今日のエピソードに至るまでの話
演者はあいさつの舞の後、椅子に座り、ムドラを使って物語を語り始めます。
「昔むかしカムサは、自分に死をもたらす者とされるクリシュナがアンバーディにいることを知って怒り、弓取りの祭礼へ招待すると偽って、アクルーラを送り、バララーマとクリシュナをマトゥラー国へ連れてきました。クリシュナはカムサの弓をへし折り、城門を守護する象クワラヤピーディタを殺して、一本の牙をバララーマに渡し、もう一本の牙を自らの手に持って入場してきました」

第二場

マトゥラー王国の人々、それぞれの心に映るクリシュナ

1)演者が椅子から立ち上がると、まず、カムサの手下である武闘家達を演じます。

彼らは、少年でありながら、強靭な身体を持ったクリシュナを見て、闘争心を露わにします。(怒り/Raudra)

2)普通の人たちは、今まで見たこともない程立派なクリシュナの姿に驚きます。(驚嘆/Atbhuta)

3)女性達はクリシュナの魅力に心を奪われ、ひとめで恋に落ちてしまいます。(恋心/Sringara)

4)クリシュナと一緒にマトゥラー国にやってきた牛飼い仲間の少年達は、人々がまばたきもせずに、目を見開いてクリシュナを凝視しているので、笑ってしまいます。(笑い/Hasya)

5)カムサの仲間の王達は、自信に満ちたクリシュナを見て、いざ戦いに行こう、としますが、とるに足りない牛飼いである少年を相手に戦うのは、王として相応しい行動ではない、と思い直して余裕をみせます。(英雄的/Vira)

6)クリシュナの産みの母であるデーヴァキは、産み落としてすぐに離ればなれになってしまった我が子を初めて見て、喜びが溢れます。ところが、まだ少年のこの子が屈強な武闘家達と戦うことを知って悲しみ、神に祈らずにはいられません。 (悲しみ/Karuna)

7)悪王カムサは、塔の上の一室で椅子に座って外の様子を窺っています。そこに使者がやってきます。クリシュナが都を守っている象を倒したことを知らされると、これは死神がやってきたに違いないと感じ、恐れ、おののきます。(恐怖/Bhayanaka)

8)クリシュナの本当の力に気づかない人々は、「非力で柔い肉体のこの小さな子供たちと、強靭で最強の武闘家たちとの試合を見るなんて、気分悪い!こんなことを考えたのはどんな奴だ?くだらない」と、急いでその場から去ってしまいます。(嫌悪感/Bibatsa)

9)修行者たちは、神が現実の姿をとって目の前に現れたことを悟り、人生に稔りをもたらすために静かに瞑想します。(平安/Santha)

10)もともとこの国に住んでいる人々は、クリシュナが自分達ヤーダヴァ族の神そのものであると気がつき、信仰心を捧げ、礼拝します。(献身/Bhakthi)

第三場
クリシュナ、バララーマと武闘家たちとの戦い
クリシュナは武闘家の1人チャーヌーラと戦い、相手の足を掴んで地面に打ち付け、投げ飛ばして殺します。兄のバララーマはもう1人の武闘家、ムシュティカを拳で殴り殺します。
第四場
クリシュナとカムサの戦い
クリシュナはカムサが塔の上の玉座に座っているのを見つけ、塔の上に飛び上がり、カムサの手から剣と盾を掴んで奪います。そして、カムサを地面に投げ落とし、首を切り離して殺します。その後、死体の上に飛び乗り、喜びの舞を踊ると、天界の神々から祝福の花が雨のように降り注がれるのでした。